卒業研究

卒業研究の流れ

大学における学びのハイライトといえば、卒業研究。その大まかな流れを紹介します。
他の科目と違い、与えられた課題をこなすものではありません。
それを自らさがすところから始まります。

step1

修得単位の確認と卒業研究履修申請。

3年生の終わりまでに、規定の単位(1年次入学生は90単位、3年次編入学生は84単位)が修得できているか確認しましょう。無事取れていれば、新年度に卒業研究履修申請をします。大学側でも単位の修得状況が確認できれば、卒業研究の受講が許可されます。

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step2

オリエンテーションの申し込み。

卒業研究も他のスクーリング科目と同様、最低3日間の出席が必須です。その内の1日を使ってオリエンテーションを行います。卒業研究の進め方などの説明の他、グループごとにこれから進めていく研究内容についてディスカッションをします。

step3

毎月のゼミに参加、中間報告を提出。

月1回程度開催されるゼミへの参加や教員とのメールのやり取り等で研究を進めていきます。年度の中間には、研究の進捗状況をレポート形式でまとめ、大学へ提出します。これを中間報告と呼んでいます。自分自身にとっても研究内容を再確認することができ、研究内容の深化を図ることができます。

step4

卒業研究作品が完成。いよいよ作品審査へ。

中間報告からさらにゼミなどを重ね、これまでの研究の集積を作品として結実させます。図面や模型などの表現手段を駆使して、研究の骨子=コンセプトを丁寧に示すことができているどうかがポイントとなってきます。卒業研究の作品審査では、内容はもちろん仕上がり具合も大切な審査項目となってきます。

step5

更に作品をブラッシュアップし、最終審査へ。

作品審査時に指摘された箇所の修正はもちろん、さらに洗練(ブラッシュアップ)させるための期間が約1ヶ月設けられています。最終審査では作品はもとより、プレゼンテーションも大きな審査項目となります。とても緊張しますが、かけがえのない貴重な体験となるはずです。

step6

作品が選抜されると、卒業研究展へ参加。

高く評価された卒業研究作品からさらに選抜されたものが、「建築卒業研究展」への展示など、新たなステージへ進みます。学内だけでなく、日本建築学会やレモン展など、学外展への出展を積極的に行っています。また、学校推薦なしで自主的に応募できるコンテストなどもあります。

卒業研究 2016年度

建築学科 卒業研究作品 一覧

作品01

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作品02

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作品03

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作品04

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作品05

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卒業制作 01
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スキマを生かせば街は生まれ変わる

山村 理恵 / 愛知在住 主婦 28歳

現在の住宅は、効率性を重視して土地を切り取り建てられてきた。その結果、効果的に利用されない隙間が、多数取り残されている。この取り残された隙間を効果的に活用することで、既存の住宅街を再生する手法を探る。  敷地は、東京都豊島区の一角にある住宅地である。戦後、計画的な整備がされないまま、狭あい道路沿いに高密度の住宅地が形成された。現在このような住宅地において建替が進んでおり、昔ながらの人情溢れるコミュニティが崩壊しつつある。そこで、上記述べた隙間を利用して既存のコミュニティを基に新しいコミュニティを創設する集合住宅へ、緩やかに再生していくことを提案したい。

PROFILE.

インテリアショップの仕入れの仕事をしていた時に色々な建築に出会う機会があり、興味を持ち始めたことがきっかけです。大学の勉強は想像以上に大変でしたが、空間をつくることの奥深さを学ぶことができ有意義な時間を過ごすことが出来ました。また、家族の支えと友人の励まし、そして先生方からの刺激のおかげで無事に卒業することができたことをとても感謝しています。 卒業後は、2級建築士の資格取得を目指して頑張ります。

COMMENT.
—知恵ある眼差しー  遅々として改善がすすまない、都市部低層低密度住宅エリアの再生に一つの方向性を指し示す作品。住宅の周辺にある「スキマ」を種地にして、居住している人々が転居することなく連続的に、丁度陰陽反転するようにまちを更新して行くことを提案している。着眼の卓抜さ、プログラムのおもしろさ、造形的まとめのたくみさ、によって「気持ちのよい場所」が生み出されている。


卒業制作 02
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Artist in Resort ー五感を刺激するアートサイトー

山崎 未央哉 / 埼玉在住 建築現場監督 38歳

この計画は、アーティストが緑豊かで静かな森の中に年間を通して滞在し、創作活動に専念できる場所を提供するものである。自然の厳しさの中に置かれ、激しく移ろう季節を五感で感じることはインスピレーションを刺激する。  ここで発生した刺激・感性は地域へと伝播してゆく。町民たちはアートを身近に感じるようになり、アートを介した視点で自分たちの町を見直すことで、それまで気付かなかった発見をもたらす。  この施設は、ただアートを創造するための場所ではない。  アーティストだけではなく、関わる人、訪れる人々をも巻き込み、創造する過程やコミュニケーションの中でそれぞれが成長するような「人と町を創造する場所」である。

PROFILE.

以前は建築とは全く別の業界にいましたが、どうしても建築の仕事をしたいと 思うようになり、愛産大の入学とほぼ同時に建築業界に転職しました。現在は現 場監督の職についていますが、卒業後は建築士の資格を取得し、現場経験を生か した設計ができるような設計士になりたいと思っています。  今回の卒業研究は、私の生まれ育った町に計画したものです。今後は、この計 画が本当に実現されることを目標にしていきたいと考えています。

COMMENT.
3次元モデリングというツールを駆使して、未知の空間への冒険を果敢に試みている。柔らかな帯状のアイテムがシームレスに連なりながら空間を切り結んでいくそのさまは、山の斜面というロケーションの新たな魅力を引き出していて、その場所ならではの美しさを体現している。1つのアイディアを多様に展開しているがゆえに、デザインに明晰さと力強い説得力が生まれている。


卒業制作 03
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富士行燈 ー富士山への複合施設提案ー

日隈 大輔 / 東京在住 旅人 20代

下記に記す問題点を改善できるような複合施設を計画する。
1.近年、富士山への登山者が急激に増加してきている。しかし、彼・彼女らには狭くて居心地の悪い小屋に泊まるか、日帰りで登頂するかの二種類しか選択肢がない。もし富士講の様な修業的な要素を登山に求めるなら問題ないのだが、これからはもっと多様なニーズに答えられる施設があっても良いのではないだろうか?
2.富士山を守るレンジャーは、4名の隊員が河口湖近くの富士ビジターセンターを拠点に活動を行っている。しかし、ここは富士山山頂から遠いので、この場所では山を管理するのが困難である。また富士山への登山者が増加している中、これからレンジャーの増員が予想される。効率的に活動範囲を広げる為には、別の場所に施設が必要になるのではないだろうか?
PROFILE.
私は以前社寺建築の仕事に携わっていたのですが、建築学科を卒業していなかった為、二級建築士の試験を受験する事が出来ませんでした。そこで、働きながら学べる愛産大のことを知り入学を決めました。  大学では年齢や職業が異なる人々と知り合うことができ、とても刺激を受けることが出来ました。 今後は、大学で学んだことを活かし、新たな視点を持って物事に取り組んでいきたいと考えております。  最後に、伊藤潤一先生をはじめ、御指導賜りました先生方、一緒に勉強してきた仲間、そして家族にこの場を借りて御礼申し上げます。
COMMENT.
大きな一枚屋根の下に、ユニット化された宿泊施設を提案する日隈案は、自身の登山経験からの発想によるところが多い。興味深いのは、現代人の他者との距離のとり方、明るさにおける利便性へのアンチテーゼなど、現代性と原始性の融合を試みている点にある。逆に言えば、富士という特異なコンテクストの鏡の中に、現代若者の都市の考え方が反映されていると言ってもいい。



卒業制作 04
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どや街にひかりを 〜—生死の狭間で生きる日雇い労働者達へ—

畑中 裕美/ 神奈川在住 主婦 31歳

区寿町周囲の地域を通称「どや街」と言い、簡易宿泊所が密集、日雇い労働を主とする人が生活をしている。  どや街の路上には違法駐車やゴミがあふれ、さらに仕事にあぶれた日雇い労働者達が日中から飲酒や賭博をし、また高齢化も進み、孤独死するケースが多発している。  このような独特の地域において、日々の暮らしの癒しの心のモニュメントとボランティア精神で、未来への安らぎを求めることができる建築を提案したい。
PROFILE.
最終学歴が高校卒業の私には、まずは大学を卒業しようという事から考え始めました。 その上で、何を勉強するか悩みましたが、以前から興味があった建築を学ぶことを決め、愛産大に入学しました。 モチベーションと時間の確保が難しかったのですが、年齢問わず仲間が出来たのがとてもいい思い出になりましたし、家族の支えもあって無事4年間で卒業することが出来たので、今後は資格取得も目指し、いつか建築の仕事に就きたいと思っています。
COMMENT.
高級住宅地が隣接する一角に、人権・安全・自由・生活・経済の社会保障が十分には届かない「ドヤ街」と呼ばれる地域がある。やむなく住人となった弱者達に、行政では限界あるケアを補うため、ボランティアが積極的に活動できる心の拠点を提案した。男性でも足を運ぶには躊躇するエリアだが、彼女は前職のキャリアを生かし深い調査と分析を実現し、建築計画、造形によって問題を問いかける社会性の高い、意欲的な作品。


卒業制作 05
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取り残された『時間』の片鱗 ー大崩海岸の展望ー

長澤 圭吾/ 静岡在住 不動産業 20代

静岡県静岡市と焼津市を結ぶ416号線は大崩海岸という名の崖沿いの国道で、昭和46年7月の山腹斜面に大崩壊が発生し洞門の復興をする事なくそのままの状態になっている。  崩壊を逃げるように、海に張り出した海上橋が建設され利用されてきましたが、2004年には150号線バイパスが片側2車線化し、交通量も減り地域住民の抜け道として利用され、その存在までもが忘れ去られようとしている。  大崩海岸は、東の方向に富士山、南に駿河湾、断崖絶壁を望む事が出来る隠れた名称である。崖沿いの崩壊した石部洞門の歴史と自然の厳しさをより身近に体感できる場として展望施設を提案する。
PROFILE.
建築課程を編入することが出来ることを知り、資格取得を目指して入学したのがきっかけでした。 建築を学んでいくうちに、造形やデザインすることの奥深さや難しさを実感しました。 3年次編入から、二年間という『時間』は長いようでとても短く、課題や卒業設計を通して建築のすばらしさ楽しさを教えて頂きました。 卒業後は資格取得も目指し、もっともっと建築を勉強していきます。 自分を強く信じて、思い切って取り組んでいきたいと思います。 卒業にあたり、ご指導賜りました先生方、友人、家族、の皆様に支えられ、乗り越えることが出来とても感謝しております。 本当にありがとうございました。
COMMENT.
大崩海岸の断崖絶壁な位置に歴史と豊かな自然と触れ合うことができる展望台を計画した作品である。海岸沿いの地形や眺望を巧みに最大限尊重した地形によって生み出された内部空間はスリリングな外部空間へと連続され、自然を出来るだけ破壊しないように配慮されたファッサードとして設計されている。その作者の誠実な設計姿勢と造形力が評価された。