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約120年ぶりの民法大改正の実施 (国際コミュニケーション学科 横瀬浩司)

研究室からこんにちは(短期大学)
平成29年12月15日に政府は、契約ルールを大幅に見直した改正民法の施行日を平成32年4月1日とする政令を閣議決定しました。改正民法は平成29年5月26日に成立し、6月2日に公布され、施行日は公布から3年以内とされていました。改正が約200項目に及び、私たちの日常生活に大きな影響があるため、施行まで周知に努めることになります。
民法のうち債権関係の規定(契約等)は、明治29年(1896年)に民法が制定された後、約120年間ほとんど改正がされていませんでした。今回の改正は、民法のうち債権関係の規定について、取引社会を支える最も基本的な法的基礎である契約に関する規定を中心に、社会・経済の変化への対応を図るための見直しを行うとともに、民法を国民一般に分かりやすいものとする観点から実務で通用している基本的なルールを適切に明文化することとしたものです。
改正の中心となる項目は、以下の5つです。
1. 飲食代は1年、弁護士報酬は2年、医師の診療報酬は3年などの職業別の短期消滅時効が廃止され、時効期間は原則として「権利行使できることを知った時から5年」に統一されました。
2. 法定利率が現行法の年5%から年3%に引き下げられました。そして、法定利率を市中の金利の変動に合わせて緩やかに上下させる変動制を導入し、3年ごとに見直しがなされます。また、商事法定利率(現行6%)が廃止され、民法の法定利率が適用されます。
3. 保証債務について、個人の保証人を保護する規定が詳細に定められました。事業用融資の債務についての保証契約については、特に公証人による公正証書の作成や保証人の意思を確認する制度が詳しく定められました。
4. 債権の譲渡制限特約の効力の見直しがなされ、将来債権の譲渡が可能であることを明らかにする規定が新設されました。
5. 約款の有効要件として、定型約款を契約内容とする旨の表示を要求する等、規定が整備されました。現在の市民生活は約款によって規制されており、電気・ガス・鉄道・運輸・航空・金融・インターネットなどで広く適用されている約款が当事者を拘束する契約となっているためです。
その他、意思能力の新設、賃貸借に関する存続期間・妨害排除・原状回復・敷金の扱いなど約200項目に及ぶ幅広い改正が行われました。
このように約120年ぶりの民法の大改正が実施されます。私たちの日常生活に関係する重要な改正が多くあります。一度、「民法の一部を改正する法律(債権法改正)について」の詳細を以下の法務省ホームページで確認してみてはどうでしょうか。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html

国際コミュニケーション学科
横瀬浩司